リンパ節の石灰化と憩室内バリウムが挙げられるが、石灰化が単発であることおよび以前に、バリウム検査の既往がないことから、腹膜垂の石灰化がもっとも考えられる。腹膜垂とは、結腸ひもと大網ひもに沿ってみられる奬膜に包まれた脂肪組織で、成人では3cm近い大きさになり、約100個あるとされている。
画像診断で正常の腹膜垂を同定することは困難だが、炎症や石灰化をきたせば同定できるようになる。石灰化した腹膜垂が腹腔内に脱落したものは腹腔内遊離体あるいは腹膜鼠などと称されるが、病的意義は乏しい。
主な臨床・画像情報として、
1.腹膜垂が遊離して腹膜腔に脱落したものが腹腔ねずみ
2.腹膜遊離体(loose body)、腹膜石、腹腔内遊離体などと呼ばれる
3.名前のように、ネズミのように腹腔内をちょこちょこ移動する
4.脂肪成分だが石灰化の頻度も高く、辺縁は平滑で石灰化は辺縁優位に生じる

X線透視、CTで腹腔ネズミを認める。
参考資料:遠隔画像診断JP
コメント
コメント ( 3 )
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尿管の近くに腹腔ネズミがあるとなかなか区別するのが難しいのですが、地道に尿管を辿るしかないでしょうか。
腹腔内で石灰化を見た時に、腹膜ねずみの他に鑑別として何をあげるべきでしょうか。
腹部石灰化の鑑別診断で、腹膜ねずみ以外には、腹部リンパ節や虫垂結石、胃石、胆石、膵石、腫瘍内石灰化などが挙げられると思います。