腹膜垂とは、結腸ひもと大網ひもに沿ってみられる奬膜に包まれた脂肪組織で、成人では3cm近い大きさになり、約100個あるとされている。 画像診断で正常の腹膜垂を同定することは困難だが、炎症や石灰化をきたせば同定できるようになります。S状結腸や盲腸に多く認められる。
炎症を起こした腹膜垂は結腸に隣接した卵円形の脂肪を含む病変として認められる。CTでは、脂肪濃度の病変を取り囲む高吸収の輪郭を認め,腹膜垂を覆っている炎症を起こした漿膜を反映している。これは腹膜垂炎に特徴的な所見である。脂肪濃度の病変の内部には高吸収の領域を含むことがある。病変周囲の脂肪織の毛羽立ちや壁側腹膜の肥厚がみられることもある.隣接する結腸の反応性の壁肥厚がみられることもあるが、通常はみられない。これは憩室炎で隣接する結腸の反応性壁肥厚がみられることが多いことと対照的であることを覚えておきましょう。

腹膜垂炎のCT画像
参考資料:レジデントノート
コメント
コメント ( 4 )
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これは知っていないと症例に出会った時戸惑いそうですね。
なみひらさん
腹膜垂炎に関しては、医学部生の方は解剖で教えていただく機会があると思うので、臨床と画像を結び付けることが出来ると思いますが、他の医療従事者は知らないことが多いので、ぜひレクチャーください。
腸炎との鑑別は容易でしょうか。
Anonymousさん
炎症を起こした腹膜垂の場合、結腸に隣接した卵円形の脂肪を含む病変として認められることが多いので、CTでは脂肪濃度の病変を取り囲む2〜3mm厚の高吸収の輪郭を認めます。腹膜垂を覆っている炎症を起こし、漿膜を反映していると腹膜垂炎であるので、腸炎との鑑別が付くと考えます。